「投げると肩が痛い」は成長痛ではありません!野球をしている子どもの肩の痛み|原因・治療・復帰時期を整形外科医が解説|吹田市の整形外科おおつかクリニック|江坂の交通事故治療・リハビリ

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「投げると肩が痛い」は成長痛ではありません!野球をしている子どもの肩の痛み|原因・治療・復帰時期を整形外科医が解説

「投げると肩が痛い」は成長痛ではありません!野球をしている子どもの肩の痛み|原因・治療・復帰時期を整形外科医が解説|吹田市の整形外科おおつかクリニック|江坂の交通事故治療・リハビリ

2026年8月26日

「投げると肩が痛い」は成長痛ではありません!野球をしている子どもの肩の痛み|原因・治療・復帰時期を整形外科医が解説

「ピッチングをすると肩が痛い」

「最近、球速が落ちてきた」

「投げ始めは大丈夫だけれど、何球か投げると肩が痛くなる」

野球をしているお子さんから、このような訴えはありませんか?

成長期の子どもが肩を痛がると、

「筋肉痛だろう」
「投げすぎただけ」
「少し休めば大丈夫」

と考えてしまいがちです。

しかし、骨が成長途中の子どもの肩は、大人の肩とは違います。

特に小学校高学年から中学生頃の野球選手では、投球を繰り返すことで肩の成長軟骨(骨端線)に負担がかかる**リトルリーグショルダー(上腕骨近位骨端線障害)**を起こすことがあります。

痛みを我慢しながら投げ続けるのはおすすめできません。

今回は、野球をしている子どもの肩が痛くなる原因、リトルリーグショルダーの症状や治療、スポーツ復帰、再発予防について、医学的根拠をもとにわかりやすく解説します。

子どもの肩は「大人の小さい肩」ではありません

成長期の骨には、骨が伸びるための**骨端線(成長軟骨)**があります。

肩の場合、上腕骨の上部にある上腕骨近位骨端線が重要です。

この部分は成長が終了するまでは力学的なストレスに弱く、投球動作によるねじれや引っ張る力が繰り返し加わることで障害されることがあります。

その代表がリトルリーグショルダーです。

成長期のスポーツ障害では、大人なら筋肉や腱に障害が起こるような負荷でも、子どもでは骨端線などの成長部位に障害が起こりやすいことが知られています。

リトルリーグショルダーとは?

リトルリーグショルダー(Little League Shoulder)は、投球による繰り返しの負荷によって上腕骨近位骨端線にストレス障害が生じた状態です。

医学的には「上腕骨近位骨端線離開」「proximal humeral epiphysiolysis」などと呼ばれることがあります。

投球動作では肩に非常に大きな回旋力が加わります。

1球投げただけで発症するというより、

投げる → 回復する前にまた投げる → さらに投げる

という負荷が繰り返されることで、成長軟骨へストレスが蓄積して発症すると考えられています。

2024年のレビューでも、リトルリーグショルダーは骨格が成熟していない投球選手に起こる代表的なオーバーユース障害として整理されています。

何歳くらいに多い?

典型的には、骨端線がまだ閉じていない小学校高学年から中学生頃の野球選手にみられます。

過去のシステマティックレビューでは、報告された患者の平均年齢は約12.8歳でした。

特に、

  • ピッチャー、キャッチャー

  • 投球数が多い選手

  • 複数チームを掛け持ちしている選手

  • 休養が少ない選手

などでは注意が必要です。

こんな症状はありませんか?

リトルリーグショルダーでは、典型的に投球時の肩の痛みがみられます。

特に注意したいのは次のような症状です。

  • 投げると肩が痛い、投球数が増えると痛みが強くなる

  • 肩の外側から上腕にかけて痛む

  • 全力投球ができない、球速が落ちた

  • コントロールが悪くなった、肩が疲れやすくなった

  • 投球後も肩が痛い

子どもは痛みをうまく表現できず、

「肩が重い」
「なんとなく投げにくい」
「今日は力が入らない」

と訴えることもあります。

「痛い」と言うまで待つのではなく、投球パフォーマンスの変化にも注意しましょう。

「痛いけれど投げられる」は大丈夫?

大丈夫とは言えません。

むしろ成長期の選手では、投げられるうちに対応することが重要です。

痛みを我慢しながら投球を続けると、骨端線への負担が続いて回復が遅れる可能性があります。

特に、

「大会が近いから」
「レギュラーから外れたくないから」
「本人が投げたいと言っているから」

という理由だけで投球を続けることはおすすめできません。

子どもの肩痛=すべてリトルリーグショルダーではありません

ここは非常に重要です。

野球をしている子どもの肩が痛いからといって、すべてがリトルリーグショルダーとは限りません。

例えば、

  • 肩周囲の筋・腱のオーバーユース

  • 腱板障害

  • 関節唇損傷

  • 肩関節不安定症

  • 骨軟骨障害

  • 外傷による骨折・脱臼

なども鑑別する必要があります。

MRI研究では、若年野球選手でも骨端線障害だけでなく、軟骨・関節唇・腱板などさまざまな組織に変化が起こり得ることが報告されています。

そのため、痛みの場所や投球フォームだけで自己判断するのではなく、症状が続く場合は整形外科で評価することが大切です。

整形外科ではどのように診断する?

まず、

  • いつから痛いか

  • どの動作で痛むか

  • 投球数、ポジション、複数チームへの所属

  • 投球後の休養日

  • 球速やコントロールの変化

などを確認します。

診察では肩の圧痛、可動域、筋力、左右差などを評価します。

レントゲン検査

リトルリーグショルダーでは、上腕骨近位骨端線の幅が広く見えるなどの変化が確認されることがあります。

必要に応じて反対側の肩と比較することもあります。

MRI検査

レントゲンだけでは診断が難しい場合、症状が強い場合、ほかの障害が疑われる場合などにはMRI検査を検討します。

ただし、画像だけで診断するのではなく、症状・診察所見・画像所見を組み合わせて判断することが重要です。

治療で一番大切なのは「投げながら治す」ことではありません

リトルリーグショルダーが疑われる場合、まず重要なのは痛みを生じる投球負荷を減らすことです。

痛みがある状態で投球を続けることは避けます。

休止期間は症状や画像所見によって異なるため、「必ず○週間」と一律には決められません。

過去の研究では数週間から数か月の投球休止後、段階的に復帰する方法が多く報告されています。システマティックレビューでは、治療後に94%が何らかのスポーツへ復帰し、約92.5%が受傷前レベルへ復帰していましたが、約18.7%には症状再発が報告されています。

つまり、痛みがなくなっただけで急に全力投球へ戻さないことが大切です。

リハビリでは肩だけを見ません

投球動作は肩だけで行っているわけではありません。

下半身から生み出した力を、

脚 → 骨盤 → 体幹 → 肩甲骨 → 肩 → 肘 → 手

へ伝える全身運動です。

そのためリハビリテーションでは、

  • 肩関節の柔軟性、肩甲骨の動き

  • 腱板筋力

  • 体幹機能

  • 股関節の柔軟性

  • 下半身の筋力

  • 投球フォーム

などを評価します。

特に肩関節の可動域や筋力の問題、過去の痛み、トレーニング負荷は肩障害のリスクと関連することが、2025年のシステマティックレビューでも指摘されています。

いつから投球を再開できる?

大切なのは「○週間経ったから投げる」という復帰ではありません。

一般的には、

  • 日常生活で痛くない

  • 肩を動かして痛くない

  • 圧痛が改善している

  • 肩の可動域が十分に回復している

  • 筋力が回復している

ことを確認したうえで、段階的に投球を再開します。

例えば、

短い距離・軽い投球

距離を延ばす

投球強度を上げる

平地での投球

ブルペン

実戦形式

というように負荷を少しずつ増やします。

途中で痛みが再発した場合は、一度負荷を下げて再評価します。

投げすぎを防ぐことが何より重要

2020年のシステマティックレビュー/メタ解析では、腕が疲労した状態で投球することは、若年投手の肩・肘障害と強く関連するリスク因子として報告されています。

2024年の高校生投手を対象とした研究でも、投球負荷と障害との関係が引き続き検討されています。

大切なのは、

「何球まで投げられるか」だけでなく、「疲れているのに投げさせない」ことです。

球数制限はどれくらい?

MLBとUSA Baseballによる現在の「Pitch Smart」では、年齢別に1日の最大投球数と休養日が設定されています。

例えば、

  • 9~10歳:最大75球

  • 11~12歳:最大85球

  • 13~14歳:最大95球

  • 15~16歳:最大95球

が1試合の上限として示され、投球数に応じた休養日も推奨されています。

ただし、これは米国のガイドラインであり、日本の所属リーグや大会では別の規則が定められていることがあります。

重要なのは、試合だけでなく練習、ブルペン、複数チームでの投球まで含めて負荷を管理することです。

Pitch Smartでは年間を通した投球休止期間を確保し、複数チームへの同時所属を避けることなども推奨されています。

こんな肩の痛みは早めに整形外科へ

次のような症状がある場合は、投球を続けず受診をおすすめします。

  • 投げるたびに肩が痛い、痛みが1~2週間以上続いている

  • 肩を押して痛い

  • 球速が明らかに落ちた、コントロールが急に悪くなった

  • 肩に力が入りにくい、投球後も痛みが続く

  • 夜間や安静時にも痛い

  • 転倒や衝突後から強く痛む、腕が上がらない

特に外傷後の強い痛みや変形、腕が動かせない場合には、早めの診察が必要です。

よくある質問

Q. 子どもの肩の痛みは「成長痛」ですか?

単なる成長痛と決めつけない方がよいでしょう。野球をしている成長期の子どもでは、上腕骨近位骨端線に負荷がかかるリトルリーグショルダーなどが原因となることがあります。

Q. 痛くても投げられるなら練習して大丈夫ですか?

おすすめできません。「投げられる=障害がない」ではありません。痛みがある場合は投球負荷を下げ、必要に応じて整形外科で評価を受けてください。

Q. 湿布を貼れば治りますか?

湿布などで痛みが軽くなることはありますが、投球負荷が原因の場合、湿布だけで根本的な問題が解決するわけではありません。負荷調整やリハビリが重要です。

Q. どのくらい休めば投げられますか?

一律には決められません。症状の程度、診察所見、画像所見、肩の可動域や筋力などを確認しながら判断します。痛みがなくなった後も段階的な投球プログラムが必要です。

Q. リトルリーグショルダーは手術になりますか?

多くの場合、投球休止とリハビリテーションなどの保存療法で改善します。通常、最初から手術を行う病気ではありません。

まとめ|子どもの「肩が痛い」は体からの大切なサインです

野球をしている子どもの肩の痛みを、

「投げすぎただけ」
「成長期だから仕方ない」
「根性で乗り切れる」

と考えるのはおすすめできません。

特に骨が成長途中の選手では、繰り返しの投球によって上腕骨近位骨端線に障害を生じるリトルリーグショルダーが起こることがあります。

大切なのは、

痛みを我慢して投げ続けないこと。
投球負荷を適切に管理すること。
肩だけではなく全身の状態を評価すること。
痛みが改善してから段階的に投球へ戻すこと。

です。

2025年の最新システマティックレビューでも、肩の可動域・筋力、既往歴、トレーニング負荷など、複数の修正可能な因子がスポーツ選手の肩痛・肩障害と関連することが示されています。

お子さんが「肩が痛い」と訴えたときは、プレーを続けさせることよりも、将来も長く野球を続けられる肩を守ることを優先しましょう。

症状が続く場合は、早めに整形外科を受診することをおすすめします。

参考医学論文・資料

  • Bednar ED, et al. Diagnosis and Management of Little League Shoulder: A Systematic Review. Orthop J Sports Med. 2021.
    リトルリーグショルダー266例を含むシステマティックレビュー。診断、治療、スポーツ復帰、再発についてまとめられています。

  • A narrative review of Little League shoulder: proximal humeral physis widening is only one piece of the puzzle, it is time to consider posterior glenoid dysplasia. 2024.
    成長期投球選手の肩を、上腕骨骨端線だけでなく肩関節全体として評価する重要性が論じられています。

  • Risk Factors Associated with New Onset of Shoulder Pain and Injury Among the Athletic Population: A Systematic Review of the Literature. 2025.
    可動域、筋力、既往歴、トレーニング負荷などが肩障害のリスク因子として報告されています。

  • Chronic Adaptations of the Shoulder in Baseball Pitchers: A Systematic Review. Am J Sports Med. 2025.
    投手の肩に生じる可動域・筋力・組織の長期的適応をまとめたレビューです。

  • MLB・USA Baseball Pitch Smart — Guidelines for Youth and Adolescent Pitchers.
    年齢別の投球数、必要休養日、年間の投球管理などを示す最新の投球障害予防ガイドラインです。

監修者情報

院長 大塚 貴史

日本整形外科学会認定 整形外科専門医。

成長期の野球肩・野球肘、リトルリーグショルダー、オスグッド病、シンスプリントなど、小児・成長期のスポーツ障害を含む整形外科疾患を診療しています。

成長期の野球選手では、単に「肩が痛い場所」だけを見るのではなく、成長段階、投球数、肩関節の可動域、筋力、肩甲骨・体幹・股関節の機能、投球動作などを総合的に評価することが重要です。

症状に応じて投球負荷の調整やリハビリテーションを行い、痛みを取るだけでなく、安全な競技復帰と再発予防、将来も野球を続けられる身体づくりを目指します。

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