2026年8月05日

・「最近、朝起きると指がこわばる…」
・「ペットボトルのフタが開けにくくなった」
・「指の関節が痛いけれど、年齢のせいだから仕方ないと思っている」
このような症状でお困りではありませんか?
実は、更年期の女性にみられる手の痛みやしびれ、こわばりには**「メノポハンド(Menopausal Hand)」**と呼ばれる状態が関係していることがあります。
2023年、日本手外科学会は、更年期女性に多い手の病気を総称して「メノポハンド」と呼ぶことを提唱しました。
今回は、更年期と手の痛みの関係について、整形外科医が分かりやすく解説します。
メノポハンドとは?

メノポハンドとは、
更年期前後に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することで起こりやすくなる手や指の病気の総称です。
具体的には次のような疾患が含まれます。
・ヘバーデン結節
・ブシャール結節
・母指CM関節症
・ばね指
・ドケルバン病
・手根管症候群
・手指のこわばり
・原因不明の手の痛み
以前はそれぞれ別々の病気として考えられていましたが、近年では女性ホルモンの減少が共通した背景にあることが分かってきました。
更年期とは?

更年期とは、閉経前後約10年間を指します。
一般的には、45歳頃〜55歳頃にあたります。
この時期には卵巣機能が低下し、エストロゲン(女性ホルモン)が急激に減少します。
エストロゲンは・骨・筋肉・靭帯・腱・軟骨・関節など全身の健康維持に重要な働きをしています。
そのため、更年期では
・肩こり
・腰痛
・関節痛
・手の痛み
などが増えることが知られています。
なぜ更年期になると手が痛くなるの?

現在最も注目されている原因が滑膜炎(かつまくえん)です。
関節の中には、滑膜という薄い膜があります。
この滑膜は
-
関節液を作る
-
関節をなめらかに動かす
という重要な役割があります。
ところがエストロゲンが減少すると
-
滑膜に炎症
-
滑膜の繊維化
-
関節液の異常
などが起こりやすくなります。
その結果
-
手のこわばり
-
指の痛みや腫れ
-
腱鞘炎
などの症状につながると考えられています。
メノポハンドでみられる症状

症状は人によってさまざまですが、代表的なものは次の通りです。
朝のこわばり
朝起きた直後に
「グーが作れない」
「指が曲がらない」
という症状です。
しばらくすると改善することもあります。
指の痛み
特に
-
第一関節(DIP)
-
第二関節(PIP)
が痛くなることがあります。
物をつまむ動作で痛みが強くなることもあります。
指の腫れ
関節がぷっくり腫れたり、
熱感を伴うことがあります。
指が曲がる
ヘバーデン結節やブシャール結節では
徐々に指の変形が進行することがあります。
手のしびれ
夜間に、親指・人差し指・中指ががしびれる場合は
手根管症候群
の可能性があります。
指が引っかかる
ばね指では
曲げた指が伸びなくなったり、
カクッと動く症状がみられます。
メノポハンドを放置するとどうなる?

初期には「少し痛いだけ」でも、
炎症が続くことで
-
関節変形
-
握力低下
-
指が曲がらない
-
日常生活の支障
へ進行することがあります。
例えば
-
包丁が使いにくい
-
ボタンが留められない
-
ペットボトルが開けられない
-
字が書きづらい
など生活の質(QOL)が低下します。
早期治療が重要です。
メノポハンドはリウマチとは違う?
非常によくある質問です。
更年期女性の手の痛みが
必ずしもメノポハンドとは限りません。
次の病気との区別が必要です。
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関節リウマチ
-
乾癬性関節炎
-
痛風
-
偽痛風
-
感染性関節炎
特に
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強い腫れ
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発熱
-
朝のこわばりが1時間以上続く
-
左右対称の関節痛
などがある場合は、
関節リウマチの可能性もあるため整形外科での診察が必要です。
よくある質問(FAQ)
必ずしも自然に治るとは限りません。症状が軽快する方もいますが、ヘバーデン結節など一度進行した変形は元に戻らないため、早めの治療が重要です。
使いすぎが症状を悪化させることはありますが、それだけが原因ではありません。更年期では女性ホルモンの低下が大きく関与していると考えられています。
まずは整形外科を受診しましょう。必要に応じて関節リウマチなどの検査を行い、適切な治療をご提案します。
メノポハンドは主に45~55歳頃の更年期女性に多いですが、乳がん治療などで女性ホルモンが低下している方にもみられることがあります。
まとめ
メノポハンドは、更年期女性にみられる手や指のさまざまな症状を総称した新しい考え方です。
女性ホルモンの低下による滑膜炎や腱・関節への影響が関係していると考えられており、ヘバーデン結節やばね指、手根管症候群などの発症にも関与する可能性があります。
「年齢のせいだから仕方ない」と我慢せず、痛みやこわばりが続く場合は整形外科へご相談ください。早期の診断・治療によって、症状の改善や関節変形の予防につながる可能性があります。
監修者情報
整形外科おおつかクリニック
院長 大塚 隆史(整形外科専門医)
整形外科おおつかクリニックでは、腰痛・首の痛み・肩や膝の痛み・スポーツ障害・骨粗しょう症など、運動器疾患全般の診療を行っています。
患者さん一人ひとりの症状や生活背景に合わせ、医学的根拠に基づいた診断と治療を心がけています。腰痛でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。