2026年9月09日

「朝、ベッドから起き上がる時に腰が痛い」
「起きてしばらく動いていると楽になる」
「日中はそれほど痛くないのに、なぜか朝だけ腰が痛い」
「マットレスが合っていないのかな?」
このような症状で悩んでいませんか?
朝起きた時の腰痛は、整形外科でもよく聞く症状の一つです。
寝ている間は腰をほとんど動かさないため、起床時には腰まわりに「こわばり」を感じることがあります。
そのため、朝に腰が痛い=必ず腰に重大な病気があるというわけではありません。
一方で、毎朝強い痛みが続く場合や、夜中にも痛みで目が覚める場合、脚のしびれを伴う場合などには、単なる寝起きのこわばりだけではないこともあります。
今回は、
「なぜ朝起きた時に腰が痛くなるのか?」
「どんな腰痛なら整形外科を受診した方がいいのか?」
「朝の腰痛を改善するには何をすればいいのか?」
について、最新の医学的知見を交えながらわかりやすく解説します。
なぜ「朝起きた時」に腰が痛くなるの?
朝の腰痛には一つだけの原因があるわけではありません。
腰は、腰椎、椎間板、椎間関節、靱帯、筋肉など多くの組織によって構成されています。
そして睡眠中は、数時間にわたって身体を大きく動かさない時間が続きます。
そのため、起床直後には腰や股関節周囲の筋肉・関節がこわばり、
「最初に起き上がる時が一番痛い」
「動き始めると徐々に楽になる」
という症状が出ることがあります。
ただし、朝の腰痛には、次のようないくつもの要素が関係します。
原因① 長時間同じ姿勢で寝ていることによる「こわばり」
日中であれば、
立つ
座る
歩く
身体をひねる
姿勢を変える
など、無意識のうちにさまざまな動作を行っています。
こうした動きによって、腰椎や股関節、骨盤周囲の関節・筋肉は少しずつ動かされ、同じ部位に負担が集中しにくくなります。
一方、睡眠中は寝返りを打つことはあっても、日中ほど大きく身体を動かすことはありません。
そのため、仰向けや横向きなど、ある程度同じ姿勢が長時間続くことがあります。
長時間同じ姿勢でいると、腰や股関節周囲の筋肉、関節、靱帯などが動かされない状態になります。
すると、起床直後には、
・腰が伸びにくい
・身体を起こす時に痛い
・寝返りや立ち上がりで腰がつっぱる
・腰まわりが重く感じる
といった「こわばり」の症状が出やすくなります。
これは、寝ている間に腰が壊れたという意味ではありません。
長時間動かさなかった部位を、起床直後に急に動かすことで、一時的に痛みや違和感を感じている可能性があります。
特に、
・デスクワークが多い、長時間座っていることが多い
・普段あまり運動をしない、歩く時間が少ない
・股関節や背中の動きが硬い、お尻や太ももの筋肉がこわばっている
といった方では、腰だけに負担が集中しやすくなります。
たとえば、股関節が硬いと、立ち上がる、歩く、靴下を履く、前かがみになるといった動作の際に、股関節の代わりに腰を大きく動かすことがあります。
また、日中に長時間座っている方では、股関節の前側やお尻の筋肉が硬くなり、骨盤の動きが小さくなることがあります。
その状態で睡眠中に長時間動かず、朝になって急に起き上がると、腰まわりに負担がかかりやすくなります。
このような場合には、
・朝起きてすぐが一番痛い
・ベッドから起き上がる時に痛い
・数分から数十分動くと少し楽になる
・日中は朝ほど痛くない
という経過をたどることがあります。
「朝は痛いけれど、少し歩いていると楽になる」という方では、長時間同じ姿勢でいたことによるこわばりや、腰・股関節周囲の動きの硬さが関係している可能性があります。
ただし、動くと楽になる腰痛がすべて単なるこわばりとは限りません。
特に、
・朝のこわばりが長時間続く
・夜中や明け方に腰やお尻が痛む
・安静にしていると痛みが強くなる
・若い頃から腰痛を繰り返している
といった場合には、炎症性腰痛など別の原因が隠れていることもあります。
また、脚のしびれ、脚に力が入りにくい、発熱、急に出てきた強い腰痛などを伴う場合には、自己判断でストレッチを続けず、整形外科を受診してください。
原因② 椎間板や椎間関節など腰椎周囲の組織
腰椎と腰椎の間には、クッションの役割をする椎間板があります。
椎間板は、中心部に水分を多く含んだ髄核、その周囲を取り囲む丈夫な線維性の組織である線維輪から構成されています。
歩く、走る、立ち上がる、物を持ち上げるといった動作では、腰椎に体重や衝撃が加わります。椎間板はこれらの負荷を分散し、腰椎同士が直接ぶつからないようにする役割を担っています。
ただし、椎間板は年齢とともに水分が減少し、弾力性が低下します。これを椎間板の変性といいます。椎間板が変性すると、腰痛の原因になることがありますが、画像検査で椎間板の変性が見つかっても、必ずしも痛みがあるとは限りません。
また、椎間板の一部が後方へ突出し、近くを通る神経を圧迫すると、いわゆる腰椎椎間板ヘルニアになることがあります。
腰椎椎間板ヘルニアでは、腰痛だけでなく、
-
お尻から脚にかけての痛み
-
脚のしびれ
-
足に力が入りにくい、つまずきやすい
-
咳やくしゃみで痛みが強くなる
といった症状がみられることがあります。
一方、腰椎の後方には、椎骨同士をつなぐ椎間関節があります。
椎間関節は、腰を反らす、ひねる、身体を起こすといった動作に関係する関節です。椎間関節に負担がかかったり、加齢による変化が生じたりすると、腰の片側または両側に痛みを感じることがあります。
特に、
・腰を反らすと痛い
・身体をひねると痛い
・立ち上がる時に腰が痛い
といった症状では、椎間関節や腰の後方にある筋肉などが関係している可能性があります。
さらに腰の周囲には、脊柱起立筋、多裂筋、腰方形筋、殿筋など、姿勢を保ったり身体を動かしたりする多くの筋肉があります。
長時間同じ姿勢で寝ていると、これらの筋肉がこわばったり、起床時に急に力が入ったりすることで、腰に痛みや張りを感じることがあります。
このように、腰痛は必ずしも「筋肉だけの問題」ではありません。
椎間板、椎間関節、筋肉、靱帯、神経、仙腸関節など、腰の周囲にあるさまざまな組織が関係している可能性があります。
ただし、腰痛の原因を一つの組織に正確に特定できないことも少なくありません。
診察や画像検査を行っても、
「この一か所が痛みの原因です」
と明確に判断できない腰痛は非常に多く、これを非特異的腰痛などと呼びます。
非特異的腰痛とは、骨折、感染症、腫瘍、神経の重い障害など、明らかな特定疾患が確認できない腰痛のことです。
これは「原因がない」という意味ではありません。
腰の複数の組織、身体の動かし方、筋力、睡眠、仕事の姿勢、ストレスなどが複合的に関係している可能性があります。
WHOも、腰痛の大部分は特定の基礎疾患によらない非特異的腰痛であるとしています。
そのため、
「朝痛いから椎間板が悪い」
「朝痛いからヘルニアだ」
「MRIで椎間板が出ているから、必ずそれが痛みの原因だ」
と、症状や画像検査だけで決めつけることはできません。
画像検査では、症状のない人にも椎間板の変性や膨隆が見つかることがあります。重要なのは、画像の所見だけではなく、痛みの場所、痛みが出る動作、脚のしびれや筋力低下の有無、症状の経過などを総合的に判断することです。
一方で、脚のしびれや筋力低下が進行している場合、排尿・排便の異常がある場合、発熱や強い夜間痛を伴う場合、転倒後に強く痛み始めた場合などには、単なるこわばりや非特異的腰痛ではない可能性があります。
このような症状がある場合には、自己判断で様子を見続けず、整形外科を受診してください。
原因③ 寝る姿勢・マットレスなど睡眠環境
「朝腰が痛いのは、布団のせいですか?」
これはよく聞かれる質問です。
寝る姿勢やマットレスが、朝の腰痛に関係することはあります。
ただし、腰痛の原因が必ず布団にあるとは限りません。
2025年の研究では、仰向けや身体をしっかり支えられる横向きの姿勢は、腰痛が少ない傾向にありました。一方で、うつ伏せは腰痛と関係する可能性があると報告されています。
とはいえ、
「腰痛にはこの寝方が絶対に良い」
とは言い切れません。
体格や寝返りのしやすさ、普段の寝姿勢によって、合う寝具は人それぞれです。
また、
「硬いマットレスほど腰に良い」
というわけでもありません。
寝返りがしやすく、身体が無理なく支えられる寝具を選ぶことが大切です。
高価なマットレスに買い替える前に、腰痛が長く続いている場合は、まず整形外科で原因を確認することをおすすめします。
原因④ 睡眠の質そのものが腰痛に関係することも
近年、腰痛と睡眠には深い関係があることがわかってきました。
腰痛があると、寝返りを打つたびに痛みを感じたり、腰の痛みで夜中に目が覚めたりして、睡眠の質が低下することがあります。
一方で、睡眠不足や眠りの質の低下が続くと、痛みを感じやすくなったり、痛みが長引きやすくなったりする可能性もあります。
2024年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、睡眠の問題と慢性筋骨格痛には、お互いに影響し合う関係があることが示されています。
つまり、
腰が痛いから眠れない
という一方向の関係だけではありません。
反対に、
眠りが浅い、睡眠時間が短い、夜中に何度も目が覚める
といった状態が続くことで、翌日の腰痛が強く感じられたり、痛みが慢性化しやすくなったりする可能性もあるということです。
これは、睡眠不足によって身体の疲労が十分に回復しなかったり、痛みを調整する脳の働きが乱れたりすることなどが関係していると考えられています。
また、慢性腰痛の患者さんを対象にした別のシステマティックレビューでも、睡眠の質や睡眠時間が改善した人では、腰痛が軽減する傾向が認められています。
もちろん、睡眠を改善すればすべての腰痛が治るわけではありません。
椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、圧迫骨折、炎症性疾患など、病気が原因となっている腰痛では、原因に応じた診察や治療が必要です。
しかし、慢性的な腰痛では、
「腰が痛いから眠れない」
「眠れないから、さらに腰が痛く感じる」
という悪循環が起こることがあります。
そのため、腰痛治療というと、
「腰だけを治療すればよい」
と思われがちですが、実際には睡眠、運動、仕事や生活環境、ストレスなども含めて考えることが重要です。
たとえば、
-
寝る前にスマートフォンを長時間使用しない
-
毎日できるだけ同じ時間に寝起きする
-
痛みが強くならない範囲で日中に身体を動かす
-
寝返りがしやすく、身体に合った寝具を使う
-
夜間痛やしびれが続く場合は、寝具だけの問題と考えず受診する
といった対策が考えられます。
特に、腰痛で何度も目が覚める、朝起きても疲れが取れない、日中に強い眠気がある状態が続く場合には、腰だけでなく睡眠の状態も含めて医療機関に相談するとよいでしょう。
朝のこわばりが強い場合は「炎症性腰痛」に注意
朝起きた時に腰が痛くても、少し動いているうちに楽になる場合は、寝ている間に腰や股関節周囲がこわばっているだけのこともあります。
しかし、次のような特徴がいくつも当てはまる場合には、単なる筋肉のこわばりではなく、腰の関節や背骨に炎症が起きている「炎症性腰痛」の可能性も考えます。
・朝のこわばりが強く、30分以上続く
・じっとしていると腰やお尻の痛みが強くなる
・身体を動かしたり、歩いたりすると痛みが軽くなる
・夜中から明け方に腰やお尻の痛みで目が覚める
・腰だけでなく、お尻の左右どちらか、または両側が痛む
・このような症状が数週間から数か月以上続いている
一般的な腰痛では、動くと痛みが増え、安静にすると楽になることがあります。
一方、炎症性腰痛では、安静にしていると痛みやこわばりが強くなり、身体を動かすことで少し楽になる傾向があります。
ただし、「動くと楽になる」という特徴だけで炎症性腰痛と判断することはできません。筋肉のこわばりや、その他の腰の病気でも似た症状が出ることがあります。
炎症性腰痛の代表的な病気の一つが、体軸性脊椎関節炎です。
体軸性脊椎関節炎は、背骨や骨盤にある仙腸関節などに炎症が起こる病気です。比較的若い年代で発症することが多く、腰痛やお尻の痛みが長く続きます。
初めは「慢性的な腰痛」「ぎっくり腰を繰り返している」「坐骨神経痛かもしれない」と思われることもあります。しかし、一般的な腰痛とは原因や治療方法が異なるため、適切な診断を受けることが重要です。
特に、
・40歳未満で腰痛が始まった
・3か月以上、腰やお尻の痛みが続いている
・朝のこわばりが強い
・夜間や明け方に痛みが強い
・動くと楽になる
・家族に強直性脊椎炎や体軸性脊椎関節炎の人がいる
・乾癬、炎症性腸疾患、ぶどう膜炎などの病気がある
といった場合には、炎症性腰痛の可能性について整形外科で相談してみましょう。
診察では、痛みの出る時間帯や動作、朝のこわばりの長さ、過去の病気などを確認します。必要に応じて、レントゲンやMRIなどの画像検査、血液検査を行うこともあります。
炎症性腰痛は、早期に診断して治療を始めることで、痛みやこわばりを軽減し、背骨や関節の動きを保ちやすくなります。
「朝の腰痛だから寝具が悪いだけ」と決めつけず、朝のこわばりが長く続く場合や、夜間に痛みで目が覚める場合には、整形外科などの医療機関に相談することをおすすめします。
高齢者では「いつの間にか骨折」にも注意
骨粗鬆症がある方では、明らかに転倒していなくても脊椎圧迫骨折を起こすことがあります。
特に、
急に強い腰痛が出た
寝返りや起き上がりで強く痛む
立ち上がる時に痛い
といった場合には注意が必要です。
「年齢のせい」「ぎっくり腰だろう」と思っていて、検査すると圧迫骨折が見つかるケースもあります。
朝の腰痛を改善するためにできること
朝起きた時の腰痛を改善するには、寝具を変えるだけでなく、起き上がり方、朝の身体の動かし方、日中の活動量、睡眠環境を見直すことが大切です。
ただし、腰痛の原因や症状の程度によって適した対処法は異なります。無理に運動を続けるのではなく、痛みが強くならない範囲で少しずつ行いましょう。
まず大切なのは、
「痛いから一日中できるだけ動かない」
という状態を長く続けないことです。
腰痛の種類や程度にもよりますが、一般的な腰痛では、無理のない範囲で身体活動を維持することが大切です。長時間安静にしていると、腰や股関節周囲の筋肉がさらに硬くなり、動き始めの痛みが強くなることがあります。
WHOの慢性腰痛ガイドラインでも、患者教育やセルフケアに加えて、構造化された運動療法などが推奨されています。
朝は「いきなり起き上がらない」
朝起きて腰がこわばっている方は、目が覚めてすぐ勢いよく上半身を起こすより、次のように段階を踏んで起き上がると腰への負担を減らしやすくなります。
① ベッドの上でゆっくり身体を動かす
まず、足首を軽く動かしたり、膝をゆっくり曲げ伸ばししたりして、身体を目覚めさせます。痛みが出る場合は、無理に大きく動かす必要はありません。
② 横向きになる
仰向けのまま上半身だけを起こすのではなく、身体全体をゆっくり横向きにします。腰をひねらないように、肩と骨盤を一緒に動かすことを意識しましょう。
③ 脚をベッドの外へ下ろす
横向きの姿勢から、両脚をベッドの外へ下ろします。脚の重さを利用すると、腰だけに力を入れずに起き上がりやすくなります。
④ 腕を使って身体を起こす
手や腕でベッドを押しながら、ゆっくり上半身を起こします。腰の力だけで起き上がろうとしないことがポイントです。
起床直後から強く前屈したり、勢いよく身体をひねったりする必要はありません。
まずは身体をゆっくり動かしていくことが大切です。
起き上がった直後は、まず姿勢を整えましょう
ベッドから起き上がった直後は、すぐに前かがみになって靴下を履いたり、床の物を拾ったりしないようにしましょう。
まずは椅子やベッドの端に座り、腰を急に曲げずに姿勢を整えます。
その後、痛みが強くなければ、次のような動作をゆっくり行います。
-
背筋を無理なく伸ばす
-
肩の力を抜く
-
深呼吸を数回する
-
足踏みを軽く行う
-
痛みのない範囲で数分歩く
朝の腰痛は、動き始めに強く感じても、少し身体を動かすことで軽くなることがあります。
ただし、歩くことで痛みが強くなる場合や、脚のしびれ・力の入りにくさが出る場合は、無理に続けないでください。
「腰だけ」ではなく股関節も動かしましょう
腰痛があると、腰だけをストレッチしたくなります。
しかし、身体を動かす際には腰だけでなく、股関節や胸椎なども一緒に動いています。
股関節周囲が硬くなると、立ち上がる、歩く、靴下を履く、物を拾うといった動作で腰に負担が集中することがあります。
そのため、腰だけを強く伸ばすのではなく、股関節や太もも、お尻、背中も含めて全身を少しずつ動かすことが大切です。
痛みのない範囲で、次のような動作から始めてみましょう。
❶ 軽く歩く
最初は数分程度で構いません。歩くことで身体全体が温まり、腰や股関節周囲のこわばりが和らぐことがあります。
❷ 股関節をゆっくり動かす
椅子に座った状態で、片脚ずつ膝を軽く持ち上げる動作などを行います。反動をつけず、痛みが出ない範囲でゆっくり動かしてください。
❸ 太ももやお尻の筋肉を動かす
椅子からゆっくり立ち上がる、立った状態で軽く足踏みをするなど、太ももやお尻の筋肉を使う動作を取り入れます。
❹ 背中や胸まわりを動かす
肩をゆっくり回したり、胸を軽く開いたりすることで、腰だけに負担が集中するのを防ぎやすくなります。
ただし、ストレッチをすると脚のしびれや強い痛みが増える場合には無理をしないでください。
朝におすすめの簡単な動かし方
以下は、腰に強い負担をかけにくい動かし方の一例です。
1. 足首を動かす
仰向けまたは座った状態で、足首をゆっくり前後に動かします。
左右それぞれ10回程度を目安に行います。
2. 膝を軽く曲げ伸ばしする
仰向けの状態で、片膝ずつゆっくり曲げ伸ばしします。
腰が反りすぎたり、痛みが強くなったりしない範囲で行ってください。
3. 椅子に座って足踏みする
椅子に浅く腰掛け、背中を無理なく伸ばします。
その姿勢で、片脚ずつゆっくり持ち上げます。
腰を反らしたり、身体を後ろに倒したりしないようにしましょう。
4. 短時間歩く
室内や家の周囲を、無理のない速度で歩きます。
最初から長時間歩く必要はありません。痛みが悪化しない範囲で、毎日少しずつ行うことが大切です。
ストレッチは「痛気持ちいい」よりも「痛くない範囲」で
腰痛があると、強く伸ばした方が効果があると思うかもしれません。
しかし、痛みを我慢して無理に伸ばすと、筋肉や関節に負担がかかり、症状が悪化することがあります。
ストレッチを行う時は、
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反動をつけない
-
息を止めない
-
痛みが強くなるまで伸ばさない
-
終わった後に症状が悪化しないか確認する
ことを意識してください。
特に、腰を強く前に曲げるストレッチや、勢いをつけたひねり運動は、朝のこわばった状態では負担になることがあります。
日中も同じ姿勢を長く続けない
朝の腰痛を改善するには、朝だけでなく日中の過ごし方も重要です。
デスクワークや車の運転などで長時間座り続けると、腰や股関節周囲が硬くなりやすくなります。
可能であれば、30分から1時間に一度は立ち上がり、少し歩いたり、姿勢を変えたりしましょう。
座る時は、
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足の裏を床につける
-
背中を丸めすぎない
-
腰を反りすぎない
-
同じ姿勢を長時間続けない
ことを意識してください。
ただし、正しい姿勢を一日中維持しようとしすぎる必要はありません。大切なのは、同じ姿勢を固定し続けず、こまめに身体を動かすことです。
寝具や寝姿勢も確認しましょう
朝の腰痛が続く場合は、寝具や寝姿勢も確認してみましょう。
ただし、寝具を変えれば必ず腰痛が治るわけではありません。
次のような点を確認してください。
-
寝返りがしやすいか
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腰が沈み込みすぎていないか
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身体が反りすぎていないか
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起床時に特定の姿勢で痛みが強くなっていないか
-
枕の高さが合っているか
仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションや枕を置くことで、腰の反りが軽くなり楽になる方もいます。
横向きで寝る場合は、膝の間にクッションを挟むと、骨盤や腰がねじれにくくなることがあります。
ただし、これらはあくまで一例です。楽になる姿勢には個人差があります。
温めると楽になる場合もあります
朝の腰のこわばりが強い場合は、入浴や温かいシャワーで身体を温めると楽になることがあります。
温めることで筋肉の緊張が和らぎ、動き始めやすくなる場合があります。
ただし、急に強い痛みが出た直後、腫れや熱感がある場合、発熱を伴う場合などは、自己判断で温め続けない方がよいことがあります。
症状が急に悪化した場合は、温めるか冷やすかにこだわらず、医療機関へ相談してください。
受診した方がよい腰痛のサイン
セルフケアを行っても改善しない場合や、次のような症状がある場合は、整形外科を受診してください。
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痛みが強く、日常生活に支障がある
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数週間たっても改善しない、痛みが徐々に悪化している
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夜間に痛みで目が覚める
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脚のしびれや痛みがある、脚に力が入りにくい
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転倒後から腰が痛い、骨粗鬆症がある
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発熱や体重減少を伴う
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排尿・排便の異常がある
特に、脚の力が入りにくい、排尿・排便がしにくい、股の周囲の感覚が鈍いといった症状がある場合は、早めの受診が必要です。
よくある質問
一時的で軽い症状なら経過をみられる場合もあります。
ただし、毎朝繰り返す、徐々に悪化している、数週間続いている、脚のしびれなど別の症状を伴う場合には、一度整形外科で原因を確認することをおすすめします。
寝具が影響している可能性はありますが、マットレスだけが原因とは限りません。
腰椎の状態、身体の硬さ、活動量、睡眠状態など複数の要素が関係します。
「硬ければ硬いほど腰に良い」とは言えません。
体格や寝姿勢によって適した硬さは異なります。寝返りがしやすく、身体を無理なく支えられる寝具を選ぶことが大切です。
軽く身体を動かすことは選択肢になりますが、起床直後に強く腰を曲げたり、反動をつけてストレッチしたりする必要はありません。
痛みやしびれが増える運動は中止してください。
必ずしもそうとは言えません。
一般的な腰のこわばりでもみられますが、炎症性腰痛でも「安静で悪化し、運動すると改善する」という特徴がみられることがあります。
長期間続く場合、特に若い方で夜間痛や強い朝のこわばりを伴う場合には相談してください。
いいえ。
レントゲンは骨折や骨の変形などを評価するうえで重要ですが、腰痛の原因すべてがレントゲンだけで分かるわけではありません。
症状や診察所見によって、MRIなど別の検査を検討することがあります。
まとめ|「朝だから仕方ない」と毎日の腰痛を放置しないでください
朝起きた時の腰痛は、長時間同じ姿勢で寝ていたことによるこわばりや、腰椎周囲の組織、身体活動、睡眠環境など、さまざまな要因が関係します。
そして大切なのは、
「朝に腰が痛い=マットレスが悪い」
と決めつけないことです。
多くの腰痛は重篤な病気によるものではありませんが、
毎朝腰痛を繰り返す
症状が徐々に悪化している
夜中にも痛い
朝のこわばりが長く続く
脚のしびれや筋力低下を伴う
といった場合には、一度原因を確認した方がよいでしょう。
特に、腰痛の原因によって治療方法は異なります。
当院では、症状や診察所見を確認し、必要に応じて画像検査を行ったうえで、薬物療法、リハビリテーション、運動療法などから患者さんの状態に合った治療を検討します。
「朝起きるたびに腰が痛い」
「しばらく動かないと腰が伸びない」
「寝具を変えても腰痛が良くならない」
そんな方は、「朝だから仕方ない」と我慢し続けず、一度整形外科へご相談ください。
最新医学論文・ガイドライン
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Saini Y, Rai A, Sen S. Relationship Between Sleep Posture and Low Back Pain: A Systematic Review. Musculoskeletal Care. 2025;23(2).
睡眠姿勢と腰痛の関連を検討したシステマティックレビューです。寝姿勢が腰痛に関係する可能性が示されていますが、現時点では研究数や質に限界があり、「この寝姿勢なら必ず腰痛を予防できる」と断定できる段階ではありません。
-
Runge N, et al. The bidirectional relationship between sleep problems and chronic musculoskeletal pain: a systematic review with meta-analysis. Pain. 2024;165(11):2455-2467.
睡眠障害と慢性筋骨格痛の関係を検討したシステマティックレビュー・メタ解析です。睡眠の問題と慢性筋骨格痛が相互に関連することが示され、慢性腰痛を考えるうえでも睡眠を含めた評価の重要性が示唆されています。
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World Health Organization. WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. 2023.
慢性一次性腰痛に対するWHOのガイドラインです。患者教育、運動療法などを含め、身体面だけではなく心理・社会的要因も考慮した包括的な治療が重要とされています。
監修者情報
整形外科おおつかクリニック
院長 大塚 貴史
朝起きた時の腰痛は非常によくみられる症状ですが、その原因は一つではありません。
寝起きの一時的なこわばりから、腰椎や椎間板などに関連した腰痛、神経症状を伴う病気、骨粗鬆症による圧迫骨折、炎症性疾患までさまざまです。
特に、毎朝のように腰痛を繰り返している場合には、「年齢のせい」「寝具のせい」と決めつけず、一度腰の状態を確認することが大切です。
当院では、腰だけを見るのではなく、症状の経過、神経症状、身体機能、生活習慣なども確認しながら、患者さん一人ひとりに適した治療を検討していきます。