2026年7月29日
「仕事中に転んでしまった」「会社で重い荷物を持って腰を痛めた」「通勤中に交通事故に遭った」
このような場合、「健康保険を使えばいいの?」「労災になるの?」と疑問に思われる方は少なくありません。
仕事中や通勤中に起きたケガや病気は、**労災保険(労働者災害補償保険)**の対象になる可能性があります。
しかし、「労災についてよく分からない」「会社へ言いにくい」「手続きが難しそう」と受診をためらってしまう方もいらっしゃいます。
今回は、労災保険とは何か、どのような場合に利用できるのか、整形外科での受診方法についてわかりやすく解説します。
労災(労働者災害補償保険)とは?
労災とは、仕事中や通勤中に起きたケガや病気に対して、治療費や休業補償などを国が補償する制度です。
正式名称は「労働者災害補償保険(労災保険)」といいます。
会社で働く多くの労働者が対象となり、会社が保険料を負担しています。そのため、労働者本人が保険料を支払う必要はありません。
労災になるのはどんなケース?
業務災害
仕事中のケガや病気です。
例えば、
・工場で機械に手を挟んだ
・荷物を持って腰を痛めた
・作業中に脚立から転落した
・作業中に高所から転倒して骨折した
・重い物を繰り返し持ち、腰や肩や肘を痛めた
などが該当する可能性があります。
通勤災害
通勤中の事故やケガです。
例えば、
・通勤途中に転倒した
・通勤途中の自転車で転んだ
・通勤中の交通事故
・通勤途中の駅の階段で転倒した
などが対象になることがあります。
ただし、通勤経路を大きく外れて買い物や私用を済ませた場合などは、労災の対象外となることがあります。
健康保険との違い
仕事中や通勤中のケガは、原則として健康保険ではなく労災保険で治療を受けます。
健康保険は日常生活での病気やケガを対象とした制度です。
一方、労災保険は仕事や通勤が原因となったケガや病気を補償する制度であり、治療費だけでなく、一定の条件を満たせば休業補償や障害補償なども受けられる場合があります。
「仕事中のケガだから健康保険で受診しても大丈夫」と自己判断せず、受付時に仕事中や通勤中のケガであることをお伝えください。
労災で整形外科を受診する流れ
① 会社へ報告する
まずは勤務先へ事故やケガの状況を報告しましょう。
② 整形外科を受診する
できるだけ早く受診し、ケガの状態を正確に診断してもらうことが大切です。
事故から時間が経つと、原因との関連が分かりにくくなることがあります。
③ 労災の書類を提出する
勤務先から必要書類を受け取り、医療機関へ提出します。
書類が後日になる場合でも、まずは受診できることが多いため、詳しくは受付へご相談ください。
整形外科ではどのような診察を行うの?
労災によるケガでは、症状を正確に診断することが重要です。
当院では、
・問診
・レントゲン検査
・神経学的診察
・必要に応じて CT検査やMRI検査の予約(当院近くの病院へ紹介)
などを行い、ケガの状態を詳しく確認します。
そのうえで、
・投薬
・リハビリテーション
・装具療法
・必要に応じた専門医療機関への紹介
など、一人ひとりの症状に合わせた治療を行います。
労災で多い整形外科のケガ
整形外科には、次のような労災患者さんが多く来院されます。
・腰痛(重量物を持ち上げたなど)
・首や肩や肘の痛み
・打撲や捻挫や骨折
・膝の怪我
・切り傷
・腱や靭帯の損傷
「少し痛いだけだから」と我慢していると悪化することもあるため、早めの受診が大切です。
労災でもリハビリは受けられますか?
はい、受けられます。
痛みを取るだけでなく、元の仕事へ安全に復帰するためにはリハビリテーションが重要です。
例えば、
・腰痛なら体幹トレーニング
・肩なら可動域訓練
・足のケガなら歩行訓練
など、仕事内容に応じたリハビリを行います。
仕事復帰を目標に、段階的に体の機能を回復させていきます。
早めの受診が大切な理由
仕事中のケガを我慢して働き続けると、
・症状が悪化する
・慢性化する
・回復まで時間がかかる
ことがあります。
また、受診までの期間が長くなると、仕事との因果関係の確認が難しくなる場合もあります。
違和感がある程度でも、できるだけ早く整形外科を受診することをおすすめします。
よくある質問
はい。雇用形態に関係なく、労災保険の対象となる場合があります。勤務先へ確認し、早めにご相談ください。
労災保険が適用される場合は、原則として自己負担なく治療を受けられます。ただし、必要書類の提出状況などによって一時的な対応が異なる場合があります。
仕事中に重い荷物を持ち上げたことなど、業務との関連が認められる場合は労災の対象となる可能性があります。まずは整形外科で診察を受けましょう。
後から労災へ切り替えられる場合もあります。状況によって手続きが異なるため、勤務先や医療機関へ早めにご相談ください。
まとめ
労災保険は、仕事中や通勤中のケガや病気に対して治療費や休業補償などを受けられる大切な制度です。
「これくらいなら大丈夫」と我慢してしまうと、症状が悪化したり、治療が長引いたりすることがあります。仕事中や通勤中に痛みやケガが生じた場合は、できるだけ早く整形外科を受診し、正確な診断を受けることが大切です。
当院では、労災による骨折、捻挫、腰痛、肩や膝の痛みなど、さまざまな運動器のケガに対応しています。レントゲンやMRIなどの画像検査、リハビリテーションを含め、一人ひとりの仕事内容や症状に合わせた治療を行っています。
仕事中や通勤中のケガでお困りの方は、お気軽に当院までご相談ください。
監修者情報
整形外科おおつかクリニック
院長 大塚 貴史
日本整形外科学会認定整形外科専門医。骨折、捻挫、腰痛、スポーツ外傷、交通事故診療、労災診療を専門に診療しています。
当院では、労災保険を利用した診療に対応しており、診察・画像検査・リハビリテーションまで一貫した治療を提供しています。患者さまが安心して仕事へ復帰できるよう、症状に応じた適切な治療とサポートを行っています。